田代尚機のチャイナ・リサーチ

「目新しいことのない」中国の内需拡大策から読み取れること

 重要なポイントを列挙すると以下の通り。

・現在行っている減税政策などの積極財政政策を更に積極的に行う。
・穏健な金融政策は緩和、引き締めを適度に行う。
・国家融資担保基金が資金拠出を加速することで、毎年新たに15万件の零細企業に1400億元の貸出を行うといった目標を実現できるよう努力する。
・ゾンビ企業の清算を断固として行い、無駄な資金が使われないようにする。
・投資領域の規制緩和を深め、民間投資の積極性を引き出す。
・建設中のプロジェクトに関する資金需要をしっかりと保障する。
・発展と民生に必要な需要にしっかりと対応し、重大プロジェクトの建設や準備を推し進める。

 こうして中身を細かく見ると、目新しいことはない。「今行われている政策、改革を加速します」といった内容である。

 とはいえ、国務院は景気に配慮しているということが確認できた点は好材料である。景気は崩れ出すと、雪崩を起こすように一気に悪くなることがある。その場合、零細企業の破綻の急増、債券のデフォルトなどがきっかけとなることが多いが、そういうことが起きないように国務院は慎重に対応しようとしている。

 また、ピンポイントで投資を絞り、そこに資金が流れるようにする方針であるが、それは社会的に不足している部分の多いインフラ投資が一つの柱となっている。

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