2017年の訪日外国人数は2869万人で過去最高を記録(日本政府観光局(JNTO)調べ)。このまま推移すると、2018年は3000万人突破が見込まれる。外国人労働者の数も2017年は約128万人と過去最高を記録(厚生労働省調べ)。東京五輪が開催される2020年にはさらに増加が見込まれる。自治体国際化協会『クレア』の田名邉雄さんが語る。
「日本が外国人の受け入れを推進するにあたって、突き当たる壁は3つ。それは“言語”“文化”そして“心”の壁です。言葉の壁は学習でクリアできますが、国民性や文化、習慣の違いを受け入れ、理解するのはなかなか難しいのです」
たとえば中国では、食事に招かれたときに出されたものを全部食べるのはエチケット違反と言われる。ゲストには余りある料理でもてなすのが中国流のおもてなしで、全部食べると「まだ足りないからもっと持ってきて」と受け取られることもあるからだ。こうした文化の違いは、国によって様々だ。
一方で日本にやって来る外国人の中には、日本のために積極的に行動しようとしてくれる人も少なくない。なるべく“心”の壁を作ることなく交流したい。自治体国際化協会会では各自治体の海外活動の支援や、日本人と外国人の友好的な共生社会の実現に向けた支援活動を行っている。そこでこんな場面もあったという。
「熊本市には6000人弱の外国人が暮らしていますが、2年前の熊本大震災の際は、外国人住民が率先して炊き出しなどに参加してくれました。また、2015年の関東・東北豪雨の際、避難所で、ひとりでご飯を食べている高齢者を、ある外国人一家がケアしてくれたことも。ひとりで食事など悲しすぎる…と、たまらず声をかけたと聞きます」(田名邉さん)
今後、ますます外国人を近所で見かける機会が増えそうだが、「英語で話さなくちゃ」と身構える必要はないという。
「外国の隣人を見かけたら、いざという時に助け合う仲間と思って、子供に語りかけるような、やさしい日本語で声かけを」(田名邉さん)
※女性セブン2018年8月16日号