社会保険労務士の稲毛由佳氏は懸念を示す。
「年金の書類では、元号を数字で表わします。昭和が5、平成は7です。新元号は9でしょうか。例えば書類作成時、平成の7と新元号の9を取り違えるなどして、年金の加入記録に誤りが生じる懸念があるのです」
グローバル化が進み、諸外国と同じく西暦ベースにすべき、という意見もある。
「将来、年金のデータを西暦に揃えるとなれば、その移行作業で現場は大混乱するでしょう」(同前)
約5000万件の「消えた年金」問題で社会保険庁は解体されたが、後を継いだ日本年金機構も今年に入りデータ入力ミスによる過少支給を引き起こしている。
平成の終わりの「免許返納キャンペーン」
平成表記のまま、多くの人が使い続けるものの1つが運転免許証だ。
「平成で書かれた有効期限は、新元号だと何年になるのか、自分で置き換えないといけない。更新を知らせるハガキは届きますが、気付かずに勘違いしたままの人が出てしまう事態も考えられます」(前出・鈴木氏)
警察庁は、8月2日に有効期限を西暦表記に変える方針を発表したが、来年3月頃以降に発行されるものに限られる。
ちなみに、天皇の免許は今年12月23日の85歳の誕生日翌月に有効期限を迎えるが、更新予定はないという。
「最近、高齢者による自動車事故が社会問題になっています。陛下の免許返納を機に、返納を促すキャンペーンにつながっていくのではないか」(警察関係者)
※週刊ポスト2018年8月17・24日号