来年4月30日、今上天皇が譲位し、徳仁皇太子が即位。平成から元号が改められる。改元は、日本経済に新風を吹き込むことが予想される。第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣氏がいう。
「祝賀ムードの中、小売業界が改元セールを打ち、個人消費が大きく伸びる可能性がある。新元号に絡めた記念品の需要も高まりそうですし、景気上昇も期待できます」
出雲大社や伊勢神宮といった皇室ゆかりの神社仏閣への『聖地巡礼』ブームの到来も期待されている。
「足を運んだ先でお金を落とすことで、地方にも消費拡大の波が広がり得ると考えられる」(同前)
特需に沸く業界もある。平成への改元直後、印章店(はんこ店)に注文が殺到した。業界誌『現代印章』編集長の真子茂氏はいう。
「売れたのは『平成』の文字とその上や下に二本線が入った『消し棒付きゴム印』というもの。『昭和』と表記された書類に一度判を押すだけで、平成に修正できるわけです。企業や役所などからの注文が急増し、一時は価格が10倍以上に高騰。当時の特需は約20億円にのぼったと推計されます」
各所でペーパーレス化が進んでいるが、真子氏はこう予測する。
「公表時期が当初いわれていた今年夏ではなく、改元のわずか1か月前までずれ込んだことで、コンピュータシステムの対応が追いつかない企業や役所が出てくると予想されます。結果としてデジタルでは対応できず、やはり『消し棒付きゴム印』の出番がやってきそうな気配です」(同前)
※週刊ポスト2018年8月17・24日号