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「生前リフォーム」をすれば親子でこんなに得をする

「生前リフォーム」で相続税にこれだけの差が出る

 年金が減らされる中、貯蓄に励むシニア世帯は多いが、人生100年時代となると貯金が積み上がり、ごく普通のサラリーマンOB世帯でも相続税の課税対象となってしまう可能性がある。

 将来的に子供が家を受け継ぐつもりであれば、親が存命中に大規模リフォームをしておく選択肢もある。年齢的にそう長くは住めない自宅に大金をかけて修繕するのは無駄のようにも思えるが、実はリフォームをすることで大きな節税効果を得ることが可能だ。

「車椅子で上がれる玄関や浴室、階段エレベーターなどフルリフォームを行ない、現金で支払う。そうすれば貯金からまとまった金額を減らせます。自宅の建物の資産価値もリフォームで高まるが、相続税のベースになる固定資産税評価額はリフォームにかけた金額の半分ほどの上昇にとどまる。差額の相続税が節税できるわけです」(円満相続税理士法人代表の橘慶太氏)

 逆に、子供が家と預貯金を相続した後にリフォームを行なえば、節税効果はなく、相続税を先に取られて残ったお金からリフォーム費用を払うことになる。

 別掲の図はこの仕組みを簡略化したものだ。父親の資産はほとんど資産価値がない古い家と現預金が4000万円。1人息子がそのまま相続すると遺産は非課税枠(相続人1人なら遺産3600万円)を超えるため相続税が40万円かかる。その後に1000万円をかけてリフォームすると、残る現預金は2960万円だ。

 一方、父親が存命中に1000万円でリフォームしておくと、前述の節税効果で相続税がゼロになり、子供の手元には3000万円の現預金、そしてリフォーム済みの家が残る。子供がいずれリフォームをしなければ、と考えているなら、後者のほうがはるかに得なのだ。

 これからの人生100年時代、年金と相続の関係を考えれば、70代後半からはこれまでの「貯めて残す」ではなく、「使って減らす」という発想に転換することが、「年金無税族」を貫く秘訣である。

※週刊ポスト2018年8月17・24日号

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