来年4月、新元号が発表される。そこで考えられるのが新元号を巡る商標争いだ。知的財産権に詳しい弁護士の唐津真美氏が解説する。
「6月22日、特許庁は、現行・過去含め元号の漢字2字では原則、商標登録できないという方針を発表しました。これまでは、過去の元号は登録できると認識されていたので、改元後に『平成』の出願が乱発されないよう先に手を打った」
ただし、「平成」を含んでいる商標なら登録が認められる可能性がある。
「今年3月、新潟の酒造メーカーが、〈ありがとう平成〉を出願しています。特許庁の方針では、『元号』と『普通名詞』の組み合わせは認められない。お酒の名前に『平成酒』はダメということ。一方、〈ありがとう平成〉は、固有のお酒のネーミングとして認められる可能性があり、実際『平成』を含む商標はいくつも登録されている。その考え方は、新元号についても同様です」(同前)
商標の世界は、「先に出願した者勝ち」だ。
「例えば〈こんにちは○○〉と新元号を含んだ商標が認められることがあるかもしれません。そうなると、他の企業は同様の商品の商標としてそのフレーズを使うことはできません」(同前)
最近では、先に商標を手に入れ、それを転売して稼ぐビジネスも存在するというから、新元号発表と同時に“登録競争”が始まることになりそうだ。
※週刊ポスト2018年8月17・24日号