しかし、今回のトルコリラ暴落で、欧州をはじめとする銀行のトルコ向け融資が焦げ付くのではないかとの懸念から銀行株を中心に売り込まれたわけだが、そもそも先進国の銀行のトルコに対する融資額は、日米でそれぞれ1~2兆円程度、欧州はスペインが突出しているが、英国を合わせても全体で20兆円弱というところ。先進国の大手銀行は1行だけで100兆円近い貸出金を持つことを考えても大した金額ではないだろう。まして、それらがすべて焦げ付くわけでもない。
そう考えていくと、今回のトルコリラ暴落は短期的に金融市場を混乱させる要因になったとしても、世界的な金融危機を引き起こすほどではないのではないか。
それでも夏枯れ相場の中で、新たな売り材料としてトルコリラ安が出てきたため、もう少し調整局面が続く可能性は否定できないだろう。しかし、中長期的には企業業績が相場の先行きを決定するので、大きく下がったところはむしろ買いのチャンスという認識もできるかもしれない。