いまや世界的ブランドとなった「ユニクロ」を率いるファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(69)と、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」(以下、ゾゾ)を運営するスタートトゥデイの前澤友作社長(42)。年齢こそ2回り以上違うが、どちらも日本のファッション界に新風を巻き起こした経営者だ。
だが、その2人の間には深い“対立”があった──。
〈あれはおもちゃ。店舗で店員に測ってもらったほうがいい〉──ユニクロ・柳井氏はこう一刀両断した。日経新聞が報じた記事(8月6日付夕刊)の中で、ゾゾが新機軸として打ち出した「ゾゾスーツ」(※注)について問われての答えだ。
【※注/着用して全身をスマホで撮影すると自身の体型を採寸できる特殊なスーツ。採寸データをもとに、体型に合った衣服を購入できる】
ユニクロは1兆8619億円の連結売上高(2017年8月期)を誇る業界のガリバーで、984億円(2018年3月期)であるゾゾの、ざっと20倍の規模。歯牙にもかけないような相手に思えるが、柳井氏はなぜここまで辛辣な言葉を浴びせたのか。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏が解説する。
「ユニクロは創業以来、生産から小売りまで自社で完結させる“自前主義”を貫く製造小売業の会社です。一方のゾゾは、ネット通販サイトで他社製品を流通させるビジネスで成長してきました。ビジネスモデルが根本から違うのです」
これまでは、同じアパレル業界でも棲み分けができていたが、その境界線に前澤氏が足をかけた。
「ゾゾが自社ブランド展開を始めたのは、ユニクロの領域である『生産』にも本格的に踏み込むと宣言したに等しい。自社完結にこだわってきた柳井さんには、“生産はそう甘いものではない”という思いがあるはず」(全国紙経済部記者)
柳井氏の“おもちゃ発言”に対し、前澤氏はネット上で〈本当にそう言ったんだとしたら、最高の褒め言葉。狙い通り〉と投稿し、火に油を注いでいる。有名女優との交際を公表して勢いに乗る若きカリスマの“下克上宣言”なのか。