ただし“長寿”だからといって、資産を殖やせるとは限らない。
「そもそも長生きしている商品だからといって、これからも元気であり続ける根拠にはなりません。運用成績だけで見れば、日経平均の騰落率を下回る長寿投信もある。設定からの年月の長さは下落リスク確認の指標にはなりますが、リターンを予測する材料にはなりにくい。高いパフォーマンスを期待するなら、投資先の分析や騰落率の評価が優先されるでしょう」(同前)
それを踏まえたうえで、長寿投信の選び方について前出・篠田氏はこうアドバイスする。
「景気が下落局面の時にどれだけ踏みとどまっているかを判断する際には、比較対象のファンドを間違えないことに注意が必要です。同じ長寿投信であっても、日本株中心のファンドと、騰落が激しい新興国ファンドの運用成績を比べても意味がありません」
先に触れた日経新聞の記事には「残高増加ランキング」の上位5本が掲載されているが、新興国株式投資を中心とした商品もあれば、日本国内の成長産業(高齢者関連事業)に投資する商品もあり、その“性格”は全く違う。
亀の甲より年の功──そんな長寿投信の強さを知れば、老後マネー運用に新たな選択肢が増えるかもしれない。
※週刊ポスト2018年8月31日号