一方、好景気が続く場合、今度は景気の過熱を抑えるため中央銀行が政策金利(短期金利)を引き上げてくるようになると、今後景気が後退するのを見込んで長期金利が下がり、長短金利差が徐々に縮小。やがては短期金利よりも長期金利の方が低くなる右肩下がりの曲線となる。その状態を「逆イールド」といい、これが逆金融相場に転じるサインとなるのだ。実際、過去にも、ITバブルが崩壊した2001年、あるいはリーマン・ショックにつながるサブプライム・ショックに見舞われた2007年の年初には「逆イールド」が確認された。
もちろんイールドカーブの形状は先行指標といわれるように、逆イールドになったからといってすぐに株価が暴落するわけではない。ただ、将来の備えとして念頭に置いておいて損はないだろう。
さて、ここで見方を変えると、まだ金融相場にある日本株は、これから業績相場が訪れ、やがて逆金融相場に転じるサイクルが今後考えられる。ということは、目先で一進一退の展開が続いているものの、株価はまだまだ上昇基調にあると見ることができる。
それがいつまで続くかを正確に予想することは難しいが、たとえば日本の景気を腰折れさせる材料といえば、2019年10月に予定される消費増税が挙げられる。奇しくも同時期には、欧州の金融政策を担ってきたECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が任期を迎える予定もある。
ただし、その一方で米国の景気は例年11月から翌年4月にかけてよい傾向が強く、米国景気による下支えまで併せて考えると、景気がピークアウトして逆金融相場に転じるのは2020年秋頃ではないだろうか。もちろん、FRB(連邦準備制度理事会)が景気に配慮した緩やかな利上げを続ける場合はこれがもっと後ろ倒しになる可能性もある。