基本的に、長泉寺は一度建てた墓を壊すことはしない。跡取りがなくなり、参拝する人が絶えても、“そこに仏様がいればそれでいい”という考え方だ。
「30年ぶりにフラッと孫が来たときに、あぁ、ここにおじいちゃんおばあちゃんが眠ってるんだ、と感じてくれたらいい。もし時代と共にお寺自体が廃れたら、お墓も自然に帰っていく。それが仏教本来の在り方なんです。別にお墓参りにこだわる必要なんてない。
檀家はお寺に金を出して墓を維持管理してもらい、毎年必ずお墓参りに行かなければならない、という日本人の発想自体、お寺ビジネスが作り上げたもの。墓じまいや改葬もそのビジネスの延長にある。故人と遺族がお寺にコントロールされている現状は変えていくべきです」
※週刊ポスト2018年8月31日号