2018年の日経平均株価は、1月23日につけた年初来高値2万4129円から2000円近く下げた水準で半年以上も膠着状態にある。株価の重石となってきた米中貿易摩擦問題も、依然として追加関税の応酬が続くなど先の見えない展開となっている。今後の日本株の展開はどうなるのか。グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏は「11月から株高に転じる」と予想する。その根拠について、以下のように解説する。
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世界のマネーの動向を見ていくと、6月中旬にECB(欧州中央銀行)が量的緩和政策の年内終了を発表したことと6月末のFOMC(連邦公開市場委員会)でFRB(連邦準備制度理事会)が年内残り2回の利上げ方針を示唆したのを機に、流動性が収縮する懸念から新興国から資金が流出。新興国市場の値動きを示す「MSCI EM(エマージング・マーケット)インデックス」は6月に下落。その一方で米国債が買われ、債券価格の上昇に伴って米国の長期金利(10年物国債金利)は下がっており、世界でもいち早く量的緩和を終え、利上げに踏み切るなど好調な米国への資金還流が鮮明となっている。
米国に資金が一極集中したかのような状況が続いているのは、ひとえにトランプ政権が推し進める政策によるところが大きい。米国では10年間で1.7兆ドルの大規模インフラ投資と1.5兆ドルの大規模減税という財政政策をフル稼働し、FRBが慎重に利上げを進め、景気や株価を押し上げる両輪が揃っている。
その強権ぶりで追加関税の応酬が続く米中貿易戦争にも打って出ているが、これは冷静にみると、解決の道筋は見えているといえるかもしれない。それはそれぞれの輸入額をみれば明らかだ。中国から米国への輸入額は計5050億ドルにも上る一方、米国から中国への輸入額は計1304億ドルと、規模は約4分の1にすぎず、どう考えても大きな打撃を被るのは中国側だろう。