さらなる引き下げ競争も
ただ、それでもゼロコスト投信に期待してしまうのは、日本の投信市場でこれまで指摘されてきた“手数料の高さ”という問題を解決する動きが進んでいるからだ。
昨年4月には森信親・金融庁長官(当時)が、手数料ビジネスで稼ぐ金融機関の体質を厳しく批判。さらに今年1月にスタートした「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」が追い風になった。「つみたてNISA」は金融庁が「顧客本位」という原則に基づいて選定した対象商品(投信、ETF)に限って節税メリットを受けられる。対象商品は、購入時手数料は必ずゼロで、信託報酬も安い。手数料の低い投信が評価される機運が高まっているのだ。
結果、現在の日本市場にも、ゼロコスト投信に準ずる信託報酬の安さを売りにした商品が存在する。深野氏と篠田氏が注目する3商品を別掲した。いずれも「つみたてNISA」の対象商品である。
今後、さらなる引き下げ競争が起きることも予想される。「信託報酬がゼロに向かう投信」をどう活用していくかが、資産運用のポイントとなるだろう。
※週刊ポスト2018年9月7日号