投資情報会社・フィスコが、株式市場の8月27日~8月31日の動きを振り返りつつ、9月3日~9月7日の相場見通しを解説する。
* * *
先週の日経平均は上昇した。週間ベースでは2週連続の上昇となった。パウエルFRB議長の「景気拡大の継続を背景とした、緩やかな利上げ継続」発言を好感して上昇して始まったNYダウは、その後の北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を巡り、米国とメキシコの貿易協定が合意間近との報道から、貿易摩擦解消への期待感が台頭した。その結果、NYダウは29日にかけて4日続伸となった。
このNYダウの上昇を好感する形で日経平均も30日にかけて8日続伸を記録した。連騰期間中の28日と30日には、取引時間中として6月12日以来となる23000円台乗せを見た。為替が円安傾向を示し、上海総合指数など中国株が堅調に推移したことも追い風に働いた。この間、トヨタ<7203>、三菱UFJ<8306>などメガバンク、景気敏感株の海運が下値を切り上げ、ソニー<6758>、TDK<6762>など優良株の一角に年初来高値更新がみられた。マザーズ指数が27日に11日営業日ぶりに1000ポイントを回復するなど中小型株も切り返しに転じた。しかし、米トランプ大統領が2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税を発動させる意向と伝えられNYダウが5日ぶりに反落したことを受けて、31日に日経平均は9営業日ぶりに小幅ながら反落、TOPIXも続落となった。
今週の日経平均は模様眺めムードが強まり、もみ合い展開が予想される。最大の焦点はやはり、米中を中心とする貿易摩擦問題だ。対中2000億ドル分の追加関税に関するパブリックコメント期間終了を9月6日に控えて、米トランプ政権が具体的に関税発動を実施するかが相場の分岐点となりそうだ。発動されればアク抜け感よりも、関税引き上げによる企業業績への影響拡大が懸念されて、日経平均の下振れ要因に働く可能性がある。
米朝関係に警戒感が再燃する中で、9日に北朝鮮建国記念日を控えていることも気掛かりだ。これを前に4日もしくは5日の大引け後とみられる日経平均構成銘柄の定期入れ替えの発表がある。8月24日時点の主体別売買動向で、海外投資家は現物を売り越す一方、先物は大きく買い越す動きを見せるなか、9月14日のメジャーSQを控えて先物に絡んだ一時的なボラティリティの高まりも想定される。7日発表の米国8月雇用統計(日本時間21時30分)を含めてイベントが重なることに加えて、週初3日は米国市場が休場となることから、積極的な上値追いは難しい状況にある。ただ、8月31日に日経平均が朝安後に下げ幅を縮めるなど相場の基調は弱くない。