トルコ・リラが大きく急落した8月中旬に、それを契機に「安全な避難通貨としての日本円」に資金(資本)が流入する可能性がある、と予想したが、8月末の海外市場では、まさにそういった値動きが顕在化した。
8月末の海外市場では、ドル/円が、111円台後半から111.00円割れ(110円台後半)に急落したのだが、「安全な避難通貨としての日本円」が注目されたことが、その理由だろう。
つまり、新興国通貨の下落が日本円の買いに波及し、その結果として、ユーロ/円などのクロス円も下落したと判断できる。
新興国通貨の下落は、簡単に収まる一時的な問題ではないだろう。さらに新興国通貨に売り圧力がかかるならば、ユーロ/円やクロス円の下落に波及するのではないか、と予想される。
(2018年09月03日東京時間12:00記述)
◆松田哲(まつだ・さとし):三菱信託銀行、フランス・パリバ銀行、クレディ・スイス銀行などを経て、オーストラリア・コモンウェルス銀行のチーフ・ディーラーとして活躍。現在は松田トラスト&インベストメント代表取締役として外国為替や投資全般のコンサルティング業務を行う。HPは「松田哲のFXディーラー物語」。メールマガジン「松田哲の独断と偏見の為替相場」も発信中。