常に大規模な自然災害と隣り合わせの日本人は、災害が起きることを前提に暮らしていかなくてはならない。被災からの再起を図る上でとりわけ重要となるのが「お金」だが、“手助け”となる制度もあることが十分に意識されているだろうか。
例えば、住宅ローンを抱えたまま自宅が全壊などの被害を受け、建て直すため新たに借金をする「二重ローン」の問題も起こり得る。そこで知っておくべきなのが、2016年の熊本地震後に全国銀行協会が打ち出した「自然災害債務整理ガイドライン」だ。危機管理教育研究所代表の国崎信江氏が解説する。
「破産手続きを経ずに債務を免除する仕組みです。破産と似ていますが、被災後に受け取った支援金が回収されることはありません。いわゆる“ブラックリスト”に載ることもなく、新たな住宅ローンを組むことができます」
生活していくためには収入を得る必要がある。だが、勤め先が被害を受け業務がままならないということもある。その場合、離職はしていなくても雇用保険の失業給付を受け取ることができる特例もある。
支払い義務のある様々な“出費”が減免されることもある。
「国や地方の税金については災害を理由に納付期限を延長してもらえる場合があるほか、医療・介護保険料やNHKの受信料も、被災状況に応じて軽減されたり、免除されることがあります」(同前)
当事者となる前に確認しておくことが、いざという時の頼れる支えとなる。
※週刊ポスト2018年9月14日号