ある程度“成功法則”が見えているような施策を打ったときに、きわめて効果が低い結果が出た場合は、何らかのイレギュラーな事態が発生していると考えるのが妥当だろう。普段からネットのプロモーションに使うカネと効果を理解し、効果検証を綿密にすることにより、ムダ金を使っているか否かは判断できるということだ。今回、困惑していた市役所の担当者について、前出・中川氏は「ネット広告に対する知見が十分ではなかったことと、代理店に丸投げしていたことが番組内で露呈した」と取材に対して語った。
「ネット広告バブル」でプレイヤーが増えた弊害
アドフラウドが跋扈する背景には、「ネット広告バブル」が発生しているという側面もあるという。中川氏はこう語る。
「かつて、マスメディアに広告を出す場合は、それなりに費用が高かったため、“選ばれし企業”だけが出せる状況でしたが、ネットの場合は、少額からでも広告を出せる。しかも、ウェブサイトは日々増え続けているだけに、広告を出す場所はいくらでもある。元々広告の知識がないプレイヤーが広告主として参加するようになった結果、ネットに対する担当者の知識格差も拡大する一途で、アドフラウド的手法に食い物にされている側面もあるのではないか」(中川氏)
こうした状況について、ニュースサイトを運営する企業の広告担当者・B氏はこう語る。
「続々とネット広告の分野に参入したいという企業は増えているものの、正直、ライバルが多くて競争の激しい“レッドオーシャン”になっていると思います。ネット広告代理店・配信事業者は“ネット広告は儲かる”とばかりに参入したものの、あまりにも競争が激しい現実に直面している。我々の会社にも毎日のように代理店・配信事業者から『ウチと契約しませんか?』という営業メールが殺到しています」(B氏)
中川氏は番組中で「プレイヤーが多いがための“責任分散システム”ができている」と説明したが、この真意は何か。