投資情報会社・フィスコが、株式市場の9月3日~9月7日の動きを振り返りつつ、9月10日~9月14日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は下落した。7日にかけて6日続落となり、この間の下げ幅は562円強で週間ベースでは3週ぶりの下げとなった。週初の日経平均は米国とカナダのNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉が合意に至らなかったことを警戒して売り先行で始まった。3日がレーバーデーで米国市場が3連休となったことも手控え要因となり商いも低調だった。5日になると中国株安と4日に神戸付近に再上陸した台風21号による高潮で関西国際空港が浸水するなど被害拡大が伝わり相場の重しとなった。再開されたカナダとのNAFTA再交渉を見極めたいとの思惑が広がる中、6日午前3時過ぎに北海道胆振(いぶり)地方を震源とする震度7の地震が地合いを悪化させた。
なお、5日大引け後に日経平均構成銘柄の定期入れ替えが発表され、新規採用は事前予想通りサイバーエージェント<4751>。除外の古河機械金属<5715>、採用期待が外れた任天堂<7974>、スタートトゥデイ<3092>は下げた。7日は台風21号と北海道地震の天災に加えて、米紙ウォールストリートジャーナルが「トランプ大統領の通商交渉における次のターゲットは日本」と報じたことを嫌気して全般売りが先行した。一方、NYダウは週間を通じて小動きだった。カナダとの通商交渉と中国からの輸入品2000億ドルに対する関税引き上げへの警戒感が継続するなか、8月ISM製造業景況指数が約14年ぶりの高水準となるなど好調な経済指標が相場を下支えしている。4日にはアップルに続いて、ネット小売を展開するアマゾンの時価総額が一時1兆ドルを突破した。
今週の日経平均は、調整色の濃い軟調な展開が予想される。7日に伝えられた米紙ウォールストリートジャーナルの「トランプ大統領が貿易を巡って日本と争う可能性を示唆」という記事が相場の重しとして働いてきそうだ。日米貿易摩擦への警戒でドル・円は一時約2週間ぶりに110円前半と円高に向いたことが、この先での懸念材料の一つとなる。相場を下支えしている企業業績は円安効果も多分にあり、この円安効果のフレームが崩れると、日経平均も下値を試すことになりそうだ。台風と地震による天災の影響もじわりと企業業績を圧迫してこよう。