社会のいたるところに、あらかじめ定められた「数字」がある。普段は“前提”として気にもとめないが、その数字を少し変えてみると──実は国のあり方を大きく変える“パワー”が生まれるかもしれない。例えば、日経平均採用銘柄の数を見直すとどうなるか。
東証一部上場の約2000企業のうち、225銘柄を対象とした「日経平均株価」。「日経平均が上がれば好景気、下がれば不景気」と認識している人も多いだろう。マーケットバンク代表の岡山憲史氏の解説。
「経済指標として長年用いられているので市民権を得ていますが、一単元あたりの株価が5万円超のファーストリテイリングなどがある一方、みずほフィナンシャルグループは200円ほどと大きな差がある。その違いを調整する仕組みはあるものの、十分ではなく“歪み”が出てしまう」
たとえばファーストリテイリングの株価が5%上がるのとみずほフィナンシャルグループの株価が5%上がるのでは、日経平均への影響を見ると、前者が圧倒的に大きいということだ。
「果たしてそれが、日本の景気を反映していると言えるのかは疑問があります。日本株全体の動きを把握する指標とするため、東証一部銘柄に限らず、東証二部やマザーズなどの銘柄まで候補にしたうえで、日経平均を500銘柄まで増やすといったことがあってもいいかもしれません」(同前)
日進月歩でサービス領域を広げるIT企業や、世界的人気を誇る任天堂などが“日経平均入り”すれば、それによる買いが入って市況の活性化まで期待できる可能性もあるのだという。
※週刊ポスト2018年9月21・28日号