田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国アップル関連株急落が示す「危ないシグナル」

 もし、トランプ大統領がそんなことをしたら、輸入物価の上昇は消費者物価の上昇に繋がり、それは金利上昇に繋がる。アメリカは今、利上げサイクルの真っただ中にある。景気は良いといっても、減税効果が効いているからである。財政難の中、継続的な減税は難しく、1年後には減税効果が剥がれ落ちることになるだろう。常識的に考えれば、株価、景気に大きな影響を与えかねない追加関税措置が打ち出されるとは考えにくい。

 逆に言えば、追加関税措置が打ち出されたら、中国市場の下落が加速される可能性があるが、同時にアメリカ市場でも急落の可能性が出てくる。アメリカ市場の場合、ダウ工業指数、NASDAQ総合指数ともに上昇トレンドは9年半に及び、後者は過去最高値近辺にあるだけに、一度天井を付けると下落幅は大きく、下落は長引きそうである。

 世界経済、株式市場はトランプ大統領の保護貿易主義に翻弄されている。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、有料メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」も展開中。

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