サラリーマンには「企業型確定拠出年金」という選択肢もある。
「企業年金のひとつで、会社員が毎月積み立てた資金を退職時まで自分で投信などで運用し、老後に年金や一時金として受け取ります。自分で掛け金を追加できる『マッチング拠出』の制度を勤務先が採用しているなら、活用したほうがいい。iDeCoと同様、積立金が全額所得控除されるので節税メリットが大きい」(ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏)
ただし、これらの加入は60歳未満に限られる(iDeCoは65歳までの延長が検討されているが、変更時期は未定)。
老後資金運用で手を出してはいけない投資も
60歳以降も継続して節税メリットを得られるのが「つみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)」で、年間40万円までの非課税枠を使って、最長20年間にわたる積立投資ができる。
「金融庁が認める一定の投資信託やETF(上場投資信託)が対象商品なので、投資初心者が始めても安全性の高い運用ができ、運用で得た利益が全額非課税になるという利点もある。中長期的に資産運用ができるメリットがあります」(前出・深野氏)
つみたてNISAの上限を超えて投資したい場合は、年間120万円までの非課税枠を使って、運用益の非課税期間が5年間の「NISA」(少額投資非課税制度)を選択する手もある。
「個別株やJ-REIT(不動産投資信託)など上場しているリスクが高い商品も対象となり、『つみたてNISA』との併用ができないのが特徴です。非課税期間が5年間なので、運用資金に余裕がある期間を見定めて活用したいところです」(前出・森田氏)
逆に手を出してはいけない投資もある。ここまで専門家が挙げたのは、いずれも商品の値動きにかかわらず、節税メリットを確実に得る投資術だ。
「老後資金運用の原則は安心感とリスク管理にあります。“大儲けできる”と喧伝されるFX(外国為替証拠金取引)や先物取引、ビットコインなどの仮想通貨はプロでも運用が難しく、老後マネーの運用先としては適さないので避けるべきでしょう」(ファイナンシャルプランナーの鴇巣雅一氏)
※週刊ポスト2018年9月21・28日号