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新安倍政権で「年金受給開始を70才に遅らせる」計画が本格化

受給開始年齢を70才を超えても選べる制度

 70才受給に向けた布石はすでに着々と打たれている。

「たとえば、“年金受給者には不要”として64才までしか加入できなかった『雇用保険』が、昨年1月から65才以降でも加入できるようになりました。また年金受給者が働いた場合、収入によって年金が減額される『在職老齢年金』も、高齢者の勤労意欲を損なうとして廃止が検討されています」(あんびるさん)

 ニッセイ基礎研究所シニアエコノミストの上野剛志さんが続けて言う。

「政府は、現在65才まで義務付けられている『企業の継続雇用』を引き上げることを検討しています。これも年金受給開始の引き上げに向けた準備でしょう」

 70才受給は、“65才で年金がもらえる”と信じて一生懸命働いた人々にムチ打つ制度だ。あんびるさんは、「しわ寄せを最初に受けるのは弱い立場の人々」と指摘する。

「“とにかく高齢者に働いてもらう”という安倍首相の方針は、元気で働く場所がある人には恩恵がありますが、体が弱かったり、仕事がなかったりといった人には向いていません」(あんびるさん)

 安倍首相は総裁選の討論会で、自分の意思で受給開始時期を遅らせる「繰り下げ受給」に関しても、新たな方針を示した。これは原則65才からスタートする年金受給を60~70才の間で選べる制度で、1年遅らせると、受給額は8.4%増える。

 現行では70才までしか遅らせることができなかったのが、70才を超えても選択できる仕組みづくりを3年で断行するとした。

 しかし実態は66才以降に遅らせているのは全受給者の中の1%ほど。ニーズの有無は定かではない。

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