「無償化は世界の流れなので必要なことですが、問題点もあります」と指摘するのは、待機児童など保育問題に詳しいジャーナリストの猪熊弘子さんだ。
「来年10月から最初の5年間を経過期間として、施設の基準を満たしていない認可外施設も補助の対象にすることが最大の問題。現実的に基準を満たしていない施設は運営面の拙さから保育事故が多く、子供が亡くなるケースもあるため、預ける子供の安全面が不安です」
そして、無償化を進めれば「待機児童問題」はさらに悪化すると猪熊さんは話す。
「無償化で子供を預けたい人が増え、待機児童も増えるでしょう。保育園の数が増えなければ待機児童は解消しませんし、保育士不足など課題が多い。また、日本が無償化の対象とする保育時間は諸外国よりはるかに長く、親の長時間労働を減らすための『働き方改革』とは矛盾しています。無償化と待機児童解消とは全くつながりません」
2020年からは、高等教育の無償化も始まる。こちらは住民税非課税世帯の学生を対象に、国立大学は授業料約54万円と入学金約28万円を免除し、私立大学は授業料最大70万円を減額して入学金は約25万円まで支援する。
また年収300万円未満の世帯は非課税世帯の3分の2、300万~380万円未満は同3分の1が支援される。オールアバウトの教育資金ガイドの豊田眞弓さんは話す。
「貧困層の子供が高等教育を受けられず、親子間で貧困が連鎖することが世界的に問題視されるなか、今回の無償化は評価できます。今後は年収380万円以上の中間層まで対象を拡大することを期待したい」
※女性セブン2018年10月4日号