センターの集計を見ても、虫を含めた「動物」に絡んだ事故が全体の約17%を占める。加齢とともに回避が難しくなる事故が、野外での作業には付きものだ。
就業者が2番目に多い「サービス系」も事故が多発する。都内在住のB氏(71)は昨夏にマンション管理人代行のバイトを勧められた。
「常勤の管理人が病気などになったら代わりを務める役割でした。常勤と違って、住人のクレーム処理や設備管理をする責任もない。一日中座っているだけの楽な仕事と聞きました」(B氏)
しかし、いざ始めてみると勝手が違った。
「住民や業者にすれば常勤も臨時も関係なく、管理人は管理人。おかげで共用部分の電球の交換や排水溝の点検をやらされたりしました。おまけに住民の要請でエントランスを清掃する最中に滑って転んで腰を痛打して、しばらくまともに歩けませんでした」(B氏)
今年8月には、センターから派遣されて海水浴場で監視員のアルバイトをしていた73歳男性が、沖に流された父娘を助けようとして溺死する事故も起きた。
また、サービス業だと、「家事援助や介護補助などに携わる人が多いが、調理している最中に手元が狂って包丁で手を切ってしまったり、介護者を抱き上げたり、代わりに荷物を持ち上げようとする際に腰を痛めてしまったりするケースが多い」(全国シルバー人材センター事業協会の福島孝・事業部長)という。
職業分類上は少数の「農林漁業」だが、高齢者のバイトに多いのが「植木の剪定中」の転落事故だ。シルバー人材センターの集計でも、「墜落・転落」は事故件数で3位になっている。神奈川県在住のC氏(68)が苦い顔でいう。
「昔から得意だった庭仕事の延長のつもりで剪定のバイトを始めました。ところが、枝に絡まっていた蔦を何気なく引っ張ったところ、蔦が切れて、その反動で2メートルの脚立から転落しました。幸いヘルメットを着用していたから全身打撲ですんだものの、防具がなかったらと思うと冷や汗です」
前出・福島氏も剪定バイトに警鐘を鳴らす。
「剪定作業をする場所は周囲にブロック塀があることが多い。脚立から転落してブロックに頭を強打し、重篤事故になるケースもあるので要注意です」
※週刊ポスト2018年10月5日号