もちろん、国民皆保険が実現している日本では、たとえ加入している健保組合が解散しても、無保険状態に陥ることはない。
ただし、“安心”とはほど遠い現実があることも直視しなくてはならない。約3900万人が加入する協会けんぽの幹部は危機感を隠さない。
「健保組合の相次ぐ解散は、対岸の火事ではないと思っている。協会けんぽの収支は現在、約4500億円の黒字だが、高齢者医療への拠出の負担が年々増しているのは同じ。今後、協会けんぽも保険料率の引き上げは避けられない」
健保連や協会けんぽは、拠出金を圧縮するために、後期高齢者の窓口負担割合を1割から2割へと上げるよう国に対して要請もしている。健保組合の解散ラッシュは、この国の健康保険制度の危機を知らせる“炭鉱のカナリア”である。
※週刊ポスト2018年10月5日号