投資

老後の資産運用が失敗する原因が明らかに 「お金の学校」特別講義

ポートフォリオをどう組むべきか(講師を務める渋谷豊氏)

 定年後の資産運用をどうすべきか―─さまざまな情報が氾濫する中、「定年後設計スクール」というセミナー(主催:ファイナンシャルアカデミー)に、中高年男性が殺到しているという。受講料(全24回)は23万8000円。いったい何を教えているのか。講師を務める渋谷豊氏が語る。

「私が常に受講者に強調するのは分散投資の大切さです。“投資先の振り分けなんて当たり前”と思われるかもしれませんが、実はポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)の原則を無視していたり、目的を間違えていたりする人は驚くほど多いのです」

 講義は具体的なポートフォリオ作成も教える。テキストに示されているのは、次の5段階のステップだ。

《【1】資金目標を決める→【2】運用資金を決める→【3】目標利回りの計算→【4】ポートフォリオを組む→【5】購入する》

「老後資産運用では“できるだけ殖やす”ではなく“いくらまで殖やせばいいか”が肝心です。従って、利回りの高さありきで投資先を決めるのではなく、『目標額に届くためにはどの程度の投資額が必要で、どのような利回りで運用すれば十分なのか』を考える必要があります。儲けることを考えるあまり、【3】→【2】→【1】の順番で考える人が少なくありませんが、投資に失敗する原因といっても過言ではありません。目標利回りの計算は、『モーニングスター』などの投資情報サイトに目標金額と運用資金を入力するだけで算出できます」

【4】のポートフォリオを組む際は、バランス型投資信託(投資先を株式のみや債券のみなどに限定せず、複数ジャンルの金融商品に投資する投資信託のこと)が参考になるという。

「基本的にバランス型投信はリスク分散を重視しているので、それがどのような組み合わせになっているかはポートフォリオのモデルになりやすい。そのうえで先に説明した『標準偏差』を勘案して、ブレ幅が小さい組み合わせを選ぶようにアドバイスしています」

【5】についての注意点は「手数料」だ。

「利回りに注目するあまり、投資信託購入時の販売手数料や信託報酬(運用手数料)を見落としてしまう人は少なくありません。特に信託報酬は保有中に常に払い続けるコストですから“事実上のマイナス利回り”とさえいえます。信託報酬が1%以上の投資信託は、私は基本的に勧めません」

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