68歳どころか70歳に
財務省の提案はもっと露骨だった。
同省が財政制度審議会に提出した資料(今年4月)では、『より望ましい年金制度への改革に向けた視点』として支給開始年齢の「68歳への引き上げ」を例示したうえで、2035年には団塊世代の次に人口が多い団塊ジュニアが65歳になることを指摘し、こう提案している。
〈それまでに支給開始年齢を更に引き上げるべきではないか〉
その先には「70歳支給」が待ち受けている。安倍首相の口から年金開始年齢の見直しが語られたのは、総裁選の討論会(9月14日)だった。
「生涯現役であれば、70歳を超えても受給開始年齢を選択可能にしていく。そういう仕組みづくりを3年で断行したい」
国民が生涯現役で働き、年金受け取りを遅らせれば、国は保険料を長く徴収して年金を支払わなくて済む。前述の厚労省や財務省の議論を踏まえれば、首相発言は年金給付を減らすために支給開始年齢を68歳から、さらに70歳へと引き上げていく方針と軌を一にするものだとわかる。
だが、65歳支給開始を前提としてライフプランを考えてきた国民にとって、年金68歳支給は3年間の新たな「年金空白期間」に突き落とされることを意味する(70歳なら5年間)。
※週刊ポスト2018年10月12・19日号