10月4日は「投資の日」だ。 投資に関する知識の普及を目的に1996年に制定されたが、22年が経過した現在も投資の知識が普及している状況には至っていないのではないだろうか。投資に興味を持っている方は多いが「投資の知識がない」(65%)、「損するリスクが怖い」(47%)といった理由で投資に踏み切れていない人も多いのが現状だ(スパークス・アセット・マネジメント調べ、2017年)。
著書『お金からの解放宣言』(かんよう出版)が話題のUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)マーケティング・ディレクター兼投資家である秋山哲氏が、そもそも投資に必要な知識は何か、投資で損をするリスク、投資をした場合としなかった場合の家計の違いについて解説する。
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「投資」というと専門知識が必要で躊躇している方も多いかもしれませんが、実は専門知識はほとんど不要で誰にでも簡単にできるものも多くあります。期待する年間リターンが5~6%であれば、株式の投資信託などが選択肢となるでしょうが、この場合の投資に必要な知識は1つだけだと思っています。それは、「経済と株価は連動している」ということです。
先進国23ヶ国を例にあげると、先進国の経済(国内総生産)と株価は1980~2017年の38年間で98%相関しています。つまり、株価の変動は98%経済と連動しており、経済が成長すれば株価は上昇するということを示しています。また、経済成長は労働人口と労働生産性によって決まりますが、今後の世界人口が成長していくことは、現在の出産可能年齢人口や医療技術の進歩などを考慮すると明白です(国連も、2015年は74億人の世界人口が、2038年には91億人に増加すると推計している)。
労働生産性については、人間の成長欲求に根付いているもので、お金と共に職業が誕生してから存在する本能的な成長欲求が減退していくことはないと考えるのが妥当でしょう。つまり、今後も経済は成長し株価も上昇していくと考えるのが自然ではないでしょうか。
このことだけを知っていれば、あとはリターンに見合った投資信託を購入(投資)するだけです。先進国と新興国の年間リターンは、2018年2月までの過去20年間で、それぞれ5.5%と7.3%です。例えば、6%の年間リターンが必要な場合は、先進国に70%、新興国に30%ずつ配分するなどの組み合わせが考えられます(年間リターン〈6%〉=先進国年間リターン〈5.5%〉×70% + 新興国年間リターン〈7.3%〉×30%)。
なお、この年間リターンは株価が歴史的に大暴落したリーマン・ショックなどを含めたものであることや今後の人口や生産性の成長を考えると、やや保守的と考えられます。