また、リーマン・ショックの際には先進国の株価は最高値から54%下落しましたが、5年半ほどで暴落前の最高水準に回復しています。歴史的に見た場合、どんなに大暴落があったとしても、経済成長とともに株価は5~6年で回復して上昇を続けてきているのです。この事実を知ることだけで暴落の際にさらなる損失が怖くなって投げ売りしてしまうリスクを回避できますし、暴落を踏まえた上でも長期的に実現可能な5~6%の年間リターンを享受できるようになります。長期的に見た場合、投資で損をするリスクはこうした事実を知らないことに起因しているのです。
実際に投資信託を購入(投資)する場合は、手数料が安い商品を選びたいところです。手数料には、購入手数料、運用手数料(信託報酬)、売却手数料(信託財産留保額)の3つがありますが、目安として、購入手数料は無料、運用手数料は0.2%以下、売却手数料は無料のものを選びたい。「eMAXIS Slim」シリーズなど、最近はそうした投資信託も数多く登場しています。
投資をした家計としなかった家計の違い
では、投資をした場合の家計としなかった場合の家計は、どう違うかを見ていきましょう。
まずは投資をしない家計です。寿命は85歳、退職年齢は65歳、退職までの所得と支出は2017年の勤労世帯の各年代の平均値、退職後の所得は2017年の年金所得の平均値、支出は2017年の65歳以上の平均値とします。現在の金融資産と負債は2016年の各年代の平均値とします。
この前提で生涯収支の試算を行うと、20代は2400万円のマイナス、30代、40代は3600万円のマイナス、50代は3000万円のマイナスになります。つまり平均的な収入と平均的な支出を続けていると、支出が収入を上回ってしまうわけで、それを避けるためには平均以上の収入を目指すか、平均以下の支出になるよう節約に努めねばならないわけです。
他方で投資を行った場合にどうなるかも試算してみます。例えば毎月3万円の積立を6%の年間リターンで運用した場合は、20年後には1324万円、30年後には2846万円、40年後には5571万円になります。毎月5万円の積立であれば、20年後に2207万円、30年後に4743万円、40年後には9286万円になります(いずれも税込)。