急増する外国人旅行客の受け入れ策として期待されるのが民泊。今年6月には「民泊新法」が施行され、民泊を経営するハードルは下がったが、気をつけるべき点は何なのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
報道で知ったのですが、誰でも民泊の経営ができるようになったとか。私も東京五輪が控えているので、思いきって亡くなった両親の家をリフォームし、民泊をやってみようと思っています。ただ宿泊業に取り組むのは初めてのことですし、営業に際しての注意点などがありましたら、ぜひ教えてください。
【回答】
住宅宿泊事業法が今年の6月に施行され、今まで営業として他人を宿泊させた場合は、旅館業法に違反するとされていたものが、届け出制で可能となりました。しかし、営業を開始するにあたっては、検討すべきことがたくさんあります。
まず、施設面です。法では住宅であることが必要ですが、家主が住んでいる建物の空き部屋を貸すという本来的な住宅でない場合には、賃貸住宅で入居者の募集が行なわれている家屋、または随時その所有者、賃借人又は転借人が居住している家屋であることが条件になります。
そして、住宅ですから、使用が不可欠な台所、浴室、便所、洗面設備が備わっていなくてはなりません。さらに火災、その他の災害が発生した場合に備え、宿泊者の安全の確保のために非常用照明器具の設置や避難経路の表示が義務付けられています。その他、国交大臣の告示により、防火区画の設置などが必要になる場合もあります。これらは宿泊室の大きさや営業形態によっても違ってきます。