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「全国交通安全運動」の効果は? 初参加の男性が見た意外な実態

 Tさんがそれとなく観察すると、「○○町会」と書かれたテントは、町内会の誰かが寄付したらしく、「寄贈:○○○○ 傘寿記念」と書かれていたという。町内会費を払うことさえ渋る人が多いなか、ポケットマネーでテントを買う人がいることに感心したものの、肝心の活動は効果に疑問が残る点もあったそうだ。

「私は、交通誘導に関して何かマニュアルのようなものがあると思っていましたが、そのようなものはありませんでした。メンバーの中には、免許を持っていないと思われる女性もいて、歩行者より自転車を優先させたり、明らかに危ないタイミングでお年寄りを誘導したりと、ヒヤヒヤする場面がありました」

 確かに、自動車の免許を持っていない人間が交通ルールを正しく理解していないことは十分にあり得る。しかも運動の基地となるテントにも問題があったという。

「テントを立てた歩道は大して幅が広くなく、どう考えても歩行者の通行を妨げていました。さらにテントにはのぼりが立てられていましたが、それもドライバーの目視の邪魔になっていたように思います」

 結局、休日の午前中をまるまる交通安全運動に費やしたTさんだったが、もちろん報酬はなし。「これが近所付き合いというものか…」と思うと同時に、残ったのは“事実上、町内会の老人が世間話をする場所と化していた”という実感だったという。もちろん、すべての交通安全運動が形骸化したものではないだろうが、本来の趣旨が疎かになっているケースもあるようだ。

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