墓場にカネは持っていけない
日本人男性の平均寿命は81.09歳で、自立して健康に暮らせる「健康寿命」は72.14歳とされる。平均寿命と健康寿命をはるかに上回る90歳で、ようやく損益分岐点を迎える“75歳繰り下げ受給”について、経済ジャーナリストの荻原博子氏は懐疑的だ。
「2人に1人は90歳まで生きる女性と違い、男性は75歳を過ぎるとガクッと老いを感じるので、男性が闇雲に年金受給を遅らせることには反対です。たとえ長生きすれば受給額が増える計算でも、ようやく年金をもらえる頃に健康を失っていたら“払い損”になるだけです」
政府は繰り下げ受給をして受給額が増えれば、あたかも“老後が豊かになる”かのように喧伝するが、実際には年齢を重ねると必要な生活費は減少する。
※週刊ポスト2018年10月12・19日号