「年下妻」には65歳まで働いてもらう
妻が年下の夫婦は逆パターンで、夫が「繰り下げ受給」を選ぶ。
共稼ぎや妻がパート勤めをしている場合、夫は65歳になっても年金を受給せず、妻の稼ぎを生活費の足しにする。こちらも繰り下げ期間は「夫婦の年齢差」に合わせるのがセオリーだ。
年齢差が2歳とすると、妻が65歳になる2年後に一緒に受給開始すれば、夫は16.8%増の年金を受給できる。
「妻のパート収入だけで生活するのはとても無理だ」
という人も、繰り下げによる年金増額の検討の余地を探したほうがいいという。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏が指摘する。
「在職期間40年のサラリーマンであれば老齢基礎年金は約6万4000円、老齢厚生年金は9万円前後が一般的です。この2つの年金は別々に繰り上げ、繰り下げを選ぶことができます。例えば、妻のパート収入では生活費が6万円ほど足りないという場合、夫は厚生年金だけを65歳から受給し、基礎年金の6万4000円は繰り下げを選ぶ。そうして生活費をカバーしながら年金割り増しを受けることができます」
「加給年金」は年金版の“扶養手当”
妻に「私は働かない」と言われても心配はいらない。年金制度には「配偶者加給年金」という年下妻を持つ夫だけの特典がある。
加給年金は年金の「扶養家族手当」にあたるもので、妻が65歳になるまで夫の年金受給額に年間約40万円が加算される。
年齢差が大きいほど加算期間も長くなり、13歳年下妻なら13年間の総額で夫の年金は約517万円増える。妻が働いていても、世帯年収が850万円未満であれば給付を受けられるため、該当する世帯は多いだろう。
加給年金には夫の厚生年金加入期間20年以上、妻の厚生年金加入20年未満といった条件があるが、長く会社勤めをしていたサラリーマン世帯なら、それほど高いハードルではない。