実際、財務省や厚労省の内部では、受給開始年齢を後ろ倒しにするシミュレーションが繰り返されている。安倍晋三首相も9月、「生涯現役であれば、70才を超えても受給開始年齢を選択可能にしていく仕組み作りを断行したい」と発言。そのように「受給開始を70才へ」の流れは、もう止められない状況なのだ。
「来年(2019年)がちょうど5年に1度の財政検証です。そこで68才への引き上げが決まるとみています」(北村さん)
当然、受け取る年齢が遅くなれば生涯の総受給額は減る。標準的な夫婦が、平均寿命まで生きた場合に受け取れる額は、65才受給開始ならば約5424万円だが、70才受給開始になると約4245万円になる。実に約1200万円のマイナスとなる(表参照)。
とはいえ、嘆いてばかりもいられない。公的年金制度ほど優秀な老後の味方は、他にいないのが現状だ。国に任せて放っておくのではなく、夫婦で制度について知識を得て、賢く活用することがすべての人に求められるようになるだろう。
※女性セブン2018年10月25日号