年金増税と高齢者インフレ
すでに年金をもらっている世代への「受給カット」もこれから本格化する。
財務省は年金改革で年金への課税強化を打ち出す方針だ。現在、年金生活者には手厚い「公的年金等控除」があるため税金負担は軽い。だが、税務当局では「税の公平を歪めている」と、控除の廃止や大幅縮小が検討課題になっている。実現すれば、とんでもない重税が課せられる。
物価上昇も年金生活者への逆風となる。全国の物価の先行指標となる9月の東京都区部の消費者物価指数(総合指数)はプラス1.3%と15か月連続上昇し、前回の消費税増税以来3年半ぶりの高い伸びとなった。
本来、年金制度はインフレ時は受給額を増額する。しかし、国はインフレでも年金を少ししか増やさない高齢者狙い撃ちの仕組みをつくっている。そのため物価が上がるほど年金の実質的価値が目減りし生活が苦しくなっていく。
さらに、2019年10月には消費税率が10%に引き上げられ、重税と物価のさらなる上昇による年金実質カットに見舞われる。高齢者にとって厳しい時代が迫ってきている。
※週刊ポスト2018年10月26日号