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世界同時株安 日本株の行方を左右する「米国長期金利」の動向

米国の長期金利の動向が日本株の行方を左右する(ウォールストリート)

 日経平均株価は9月から10月初めにかけて2000円近くも上昇し、10月2日には2万4200円台とバブル後の最高値を更新したが、その翌週には一転。10日の米国市場の株価急落を受けて、11日には1日で一時1000円を超える急落に見舞われた。この世界同時株安の余波はまだ収まっておらず、その後もボラティリティの高さが目立つ乱高下相場となっている。

 はたしてこの先どうなるのか。いまや日本株運用で最大のファンドとなった「ひふみ」シリーズを運用するレオス・キャピタルワークス運用本部経済調査室長の三宅一弘氏は次のように分析する。

「今回の急落の大きな要因としては、米国の景気拡大でFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを加速させるとの観測から米国の長期金利が上昇したこと、米中貿易戦争による先行き不透明感があること、そしてリスク回避的な流れのなかで円高に振れたことなどが挙げられます。

 そうなると、今後の日本株についても、下落の発端となった米国株の動向が焦点となります。なかでも株価に大きな影響を及ぼす米国の10年国債利回りがどの程度上昇するかがカギを握ってきます。具体的には、現時点では3.2%程度の米国債の利回りが3.5%を突破するかどうかで大きく変わってくると見ています。

 米10年国債利回りが3.5%を上回ってくると、米国で今後見込まれている期待インフレ率が約2%とされるので、実質長期金利(=10年国債利回り-期待インフレ率)は1.5%となり、これは米国株式よりも長期国債のほうが相対的に魅力を増すことを意味します。それによって世界的に株から債券へと資金シフトが進めば、目先的に日本株の調整色が強まる可能性が出てきます。逆に金利の上昇が落ち着いてくるようだと、株価は日米ともに回復に転じると見ています」

 三宅氏によれば「株価は企業収益の期待成長率と長期金利の水準が重要な要素だが、米中貿易戦争など外部要因の懸念があるなかで企業業績の大幅な上方修正期待が高まっていない以上、金利の動向がカギを握っている」という。

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