「現状では米国のインフレ率は2%程度で安定していますので、普通に見れば、実質長期金利がどんどん上がっていくことは考えにくい。そして目下の懸念材料である米中貿易戦争も、よくよく見ていけば、米中ともに追加関税の応酬というパンチを繰り出しながらも、国内向けには景気刺激策を打ち出しており、必ずしも悲観的な材料ばかりではない。その観点では、日本株が本格的な弱気相場に向かうとは考えにくいでしょう。
まして、やや円高に振れたとはいえ、現在の為替水準なら日本企業の業績向上が期待できますし、PER(株価収益率)などを見ても日本株は割安な水準といえます。日経平均でいえば年末に向けて2万5000円程度までの上昇は見込めると思います」(三宅氏)
「ひふみ」シリーズの運用責任者である藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者)も、こう付け加える。
「年初に急落して以降、2018年は非常に難しい相場が続き、私たちが投資してきた持続的な成長が見込める優良銘柄も大きく売られる場面も見られています。しかし、市場が落ち着きを取り戻して回復期に入れば、必ず優良株から急回復していきます。こういう時こそよい会社に割安な価格で投資できるチャンスと見ています。
私たちは自分たちの事業を『投資運用業』と呼んでいます。『投資』と『運用』は一緒くたにとらえられがちですが、『投資』とはよい会社を選び応援することで、『運用』とは市場の状況に合わせて適切な投資戦略をとること。今回のような乱高下局面でも、下がった銘柄のなかからよい会社に『投資』を行ない、変動する市場に合わせて『運用』していきたい」
“乱世”だからこそ、どこまで見据えてどのような手を打つかが問われてくるということか。