10月10日のNYダウの急落を機に世界同時株安が起こった。これまで約1か月ほどで2000円上昇した日経平均株価も、1日で1000円幅下落するなど乱高下に見舞われている。そうした中で、新興市場の東証マザーズ指数は2017年末にほぼ11年ぶりとなる高値圏まで上昇したものの、今年1月24日につけた1355ポイント(終値)を境に下落基調が続き、反発の兆しは見えてこない。中小型株の今後の動向はどうなるのか。「ひふみ」シリーズの運用責任者である藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者)が解説する。
* * *
昨年後半から今年初めにかけて「IoT(モノのインターネット)」や「AI(人工知能)」関連などを中心に中小型株を物色する動きが高まったが、業績の先行き不透明感から株価も下落基調に転じるなか、すっかり鳴りを潜めている。9月第3週以降は外国人投資家の買い越しが目立ったが、買いが集中したのは大型株であった。加えて10月11日には日経平均株価が急落するなど、現状で大型株の混乱が続くなかでは、個人投資家が好むような新興株や中小型株は惨憺たる状況となっている。
ただし、過去の経験則からいっても、中小型株の修正は大型株の修正後、急速に起きることが多い。いまは混乱の最中とはいえ、大型株から中小型株へのシフトが今後進む可能性は念頭に置いておいたほうがいいだろう。
そのタイミングを正確に予想することは難しいが、早ければ10月中にも大型株中心の相場が徐々に切り替わり、11月からその兆しが見え始め、昨年後半のように、年末から年初にかけて中小型株が盛り返す展開となってもおかしくない。そう考えていくと、いまは中小型株の絶好の“仕込み時”といえるかもしれない。
実際、私たちのファンドでも、大型株から中小型株へのシフトを進めている。これまで「ひふみ投信」シリーズでは、アマゾン・ドットコムやVISA、マイクロソフトといった米国の大型株を上位に組み入れてきたが、これまでの株価上昇や為替動向などを考えると、さすがに短期的にはピークと見ており、9月末から10月にかけてそれらの比率を下げた。一方で、その資金の一部を米国株や日本株、さらには中国株のなかでも時価総額が小さくて成長が期待できる中小型株に振り向けようとしている。