大手不動産ポータルサイトのSUUMOが調査する「住みたい街ランキング」は、関東版だけでなく関西版も発表されている。「関西のランキングは関東とは少し趣が異なっている」というのが、SUUMOで編集長を務める池本洋一氏の見解だ。
まず注目したいのは、「街のどこに魅力を感じるのか?」という調査項目。1位の「交通利便性」や2位の「商業施設や飲食店の充実」に関しては関東版と変わりないが、関東では5位だった「治安がよい」という要素が関西版では3位にランクイン。関西では「危険な街には住みたくない」という意識が強いらしい。
沿線の人気はきわめてシンプルで、2018年版で総合ランキングの1位に西宮北口(兵庫)、2位に梅田(大阪)、3位に神戸三宮(兵庫)、4位になんば(大阪)と、阪急神戸線と地下鉄御堂筋線の通る街が上位を独占している。興味深いのは、関東で言うところの東京にあたる一大ターミナルの梅田が2位にランクインしている点だ。池本氏によると、東京駅周辺とは異なり、梅田駅(JR大阪駅)の徒歩圏内に住むことは決して非現実的なことではないという。
「隣駅の中津や中崎町が最寄りの物件なら、充分に現実的な選択肢に入ると思います。梅田から徒歩10分程度で、それでいて高級住宅街ではないため家賃相場は決して高くありません。繁華な地域のため、かつては治安が悪いというイメージもありましたが、近年はリノベーションが盛んで若者やマダム向けのお洒落なお店も増えています。商業の中心地でありながら居住地としても人気がある、というのは大阪ならではの現象かもしれません」(池本氏、以下同)
また、7位にランクインした大阪の天王寺(阿倍野)は、ここ数年で大きく人気を伸ばしてきた街だ。大阪環状線や御堂筋線など6路線が乗り入れ、ターミナル駅としての交通利便性は関西でもトップクラス。あべのハルカスやあべのキューズモールといった集客力の高い大型商業施設に加えて、2015年10月にオープンした天王寺公園の「てんしば」も、駅の目の前で広大な緑を楽しむことができる人気スポットとして定着。昨年リニューアルした天王寺動物公園と併せて、休日は多くのファミリーやカップルで賑わう。
加えて池本氏が「大注目の街」と語るのが、「穴場だと思う街ランキング」で1位の塚口(兵庫)と2位の尼崎(兵庫)。下町もしくは工業地帯としての印象が強い街だが、ここ数年の駅前の変化で大いに注目を集めているという。