中華料理店「餃子の王将」を展開する関西地盤の外食大手企業「王将フードサービス」の成長が続いている。1967年に京都で1号店を出店して以降、関西を中心に店舗を拡げ、今では全国に700店舗以上を展開するまでに急成長し、国内1000店舗体制の実現を目指している。同社はいかにして大きく成長してこられたのか、グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が分析する。
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王将フードサービスは中華料理店「餃子の王将」を展開する関西地盤の外食大手企業です。1967年に京都で1号店を出店して以降、関西を中心に店舗を拡げ、今では全国に700店舗以上を展開するまでに急成長し、国内1000店舗体制の実現を目指しています。同業他社と比較しても、業績規模や時価総額、利益率は頭抜けた存在であることがわかります。
●王将フードサービス
売上:820億円 純利益:41億円 時価総額:1821億円 営業利益率:7.3%
●リンガーハット
売上:483億円 純利益:12億円 時価総額:622億円 営業利益率:6.4%
●幸楽苑ホールディングス
売上:384億円 純利益:4億円 時価総額:274億円 営業利益率:1.6%
(※売上・純利益・営業利益率は今期予想、時価総額は2018年10月18日現在)
では、どうして同社はここまで大きく成長してこられたのでしょうか? 同社を分析してみると、外食企業としては型破りな、非常に個性的な経営がなされており、これが急成長を実現出来た要因であることがわかります。その特徴は3つあります。
【特徴1】店舗主導の経営
特徴の1つ目は店長への権限委譲の範囲が大きく、店舗主導の運営を行っていることです。王将では、本部主導ではなく、店長が中心となって店舗独自のイベント・サービスを立ち上げており、メニューも餃子やラーメンといった全店共通メニュー以外は、店舗ごとで独自展開しています。
この方針により、地域や客層に合ったメニューやサービスを提供できるニーズに対応でき、「一つとして同じ店舗がない」という特徴ある店舗運営を実現しています。多種多様のオリジナルメニューを求め、全国の店舗を巡る熱狂的な王将ファンもいるとか。
同社の経営理念には「一店一店が“地域の人々の朝食・昼食・夕食等日々健康的な食事処として進化し”地元に根付き、地域社会の発展に貢献するチェーン網を目指す」ことが掲げられており、この理念に基づいた素直な経営が行われているということでしょう。