「65才よりも早く年金を受け取り始める『繰り上げ』受給と、65才よりも遅くもらう『繰り下げ』受給があります。基本的に、前出のAさんのように60~64才で生活費が足りない場合は『繰り上げ』して受給すれば、生活費の足しにできます。また、Bさんのように70才まで働いて、66~70才までの生活費が充分にあるなら、『繰り下げ』を選べばいいというわけです」
繰り上げも繰り下げも、65才から前後に、最大5年まで選べる。
冒頭の安倍首相の発言は、今までは「最大70才まで」繰り下げられる制度だったが、それをさらに5年拡充し、「最大75才まで」繰り下げられるようにする、ということだ。北村さんが話す。
「少子高齢化や、平均寿命が延びていることで、年金財政は年々悪化しています。そこで政府は、現在の65才受給開始を、68才や70才まで遅らせたい。安倍首相の“75才まで受給を繰り下げられるようにする計画”は、その布石だと考えられます」
受給開始年齢が上がれば、当然、生涯に受け取る年金額は減る。どうしたら少しでも多くの年金を効率的に受け取れるか、知恵を絞ることが今後はますます大切になる。
※女性セブン2018年11月1日号