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アルコール依存から脱却した30代男性が語る「たった1人の闘いの日々」

 現在は一滴も飲まなくても平気になったというAさんだが、いかにして断酒に成功したのか。その秘訣は、結局メンタルの管理だという。

「飲酒に走る原因を徹底的に自分に問いかけて、その解消に励みました。私の場合は金銭的不安から来る将来の不安、今後のキャリア、そして孤独でした。1つ1つに向き合い、最悪の場合はこうするとあらかじめ行動を決めるなど、逃げ道をつくりました」

 Aさんがとりわけ危険だと感じたのは孤独状態での1人飲みだという。なぜなのか。

「自分の場合、1人で家飲みしているのがよくなかったと思っています。酔っていても、覚めてくるとふと我に返ってしまい、現実を忘れるためにまた飲んでしまうという繰り返しで際限がない。特に趣味がない私にとっては、辛いことがあると酒で忘れるしかありませんでした。断酒を決意してからは、高齢者に混じって区民センターの講座に参加したり、飲酒衝動を抑えるためにジムに入会して筋トレに励み、同時に知り合いをつくるなど必死でした」

 Aさんは現在も飲酒衝動はなくなってはいないというが、断酒に終わりはないのか。

「そうですね……基本的に終わりはないです。でも、一区切りとして断酒成功の基準はあると思います。(1)酒を買って冷蔵庫に入れておいても飲まないこと、(2)友人や仕事関係の人と飲みに行っても酒を注文しないこと、(3)過度なストレスがかかっても酒に逃げないこと。この3つができて、私は初めて断酒に成功したと感じました」

 Aさんは、酒をやめた効用をこう語る。

「酒を飲むと仕事が捗ったり、アイディアが沸くと思っていましたが、まったくの勘違いでした。やめたことで体調が劇的に良くなったので、自分が組んだ通りのスケジュールにことが運び、仕事も評価されることが増え、精神的にも肉体的にも余裕ができました。髪の毛も抜けなくなりました。金銭面も月4万~5万円くらい浮いて貯金できるようにもなりました」

 周囲に協力者がいなければアルコール依存から脱却できないと考えている人もいるかもしれないが、Aさんのように1人でも酒の魔力を乗り越えることができた人がいる。Aさんの体験談が、どうすれば断酒できるかわからない人にとって、少しでも参考になれば幸いだ。

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