日経平均株価は9月から10月初めにかけて2000円近く上昇し、2万4000円台をつけたが、その後3週間で3000円も急落。依然として値動きの激しい相場展開が続いている。はたしてこの先はどうなるのか、カギとなるのは11月6日に予定される米国大統領選の中間選挙だという。カブ知恵代表の藤井英敏氏が読み解く。
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今回の株安の震源地は米国。今年1月末~2月の急落局面と同様、米国の長期金利上昇がきっかけとなり、株価のボラティリティ(変動率)が上がったことでヘッジファンドなどが株を売って保有資産のボラを下げようとする「リスクパリティ」と呼ばれる手法が頻発。売るから下がる、下がるから売るという“ボラティリティ・ショック”によって株価は大きく下がった。
このように米国の動向が大きな影響を及ぼす以上、やはり今後の相場を見通すうえで11月6日に予定される米大統領選の中間選挙の結果がカギを握ってくるのは間違いない。トランプ政権を支える共和党が勝つか、負けるか。それ次第で、その後の景色は大きく変わってくると見ている。
米国の行方を占う2年に1度の中間選挙は、上院では100議席の約3分の1の議席、下院では全議席が改選されるが、事前予想では上院で共和党が過半数を維持しても、下院は野党・民主党が過半数を獲得するとの見方が多い。仮に上下院で多数派が異なる「ねじれ」となった場合、景気刺激策を積極的に打ち出してきたトランプ政権にブレーキがかかり、株式市場にとってはネガティブ材料となる。そうなると日本株への悪影響も必至といえ、日経平均は10月初めの2万4000円台が年間高値となり、下落基調が強まるだろう。まして来年10月に予定される消費増税が日本株にとっては重石となるため、今年の最安値の2万300円台を割り込んでくるようだと年内に2万円の大台を割る可能性も出てくるだろう。
一方、上下院ともに共和党が勝利して「ねじれない」場合、次のようなシナリオが想定される。与党が過半数を占めることで、トランプ大統領の政策がそのまま遂行されるため、米景気も巡航速度が期待されることから、ドル高円安、かつ米国株高と日本株にとってもポジティブな展開が予想される。年末にかけて割安と見た海外勢の買いが入ってくるようだと、日経平均も2万4000円からさらに上値も望めるかもしれない。
ただし、その場合であっても、やはり消費増税が重石となることに変わりはない。いくら世界的な株高局面が訪れたとしても、景気を冷やす消費増税が嫌気され、日本株だけが取り残される可能性は否定できない。いずれにしろ、日本株にとっては消費増税がネガティブな材料であることに変わりはないのだ。