高齢者単身世帯の生活費は約15.5万円とされる(平成29年総務省家計調査)から、月2万円の赤字となる。“召し上げ”により、残された妻は厳しい生活を余儀なくされる。
夫が年金受給開始前に亡くなるケースも、妻の年金は夫の老齢厚生年金の「4分の3」というのは同じだ。ただし、夫が若くして亡くなるほど厚生年金加入期間が短くなるため、金額は小さくなる。
“年下妻”が残されたら…
元サラリーマンの夫が亡くなったとき、妻が40歳以上65歳未満であれば、比較的手厚い給付となる。前述のAさん(基礎年金6万円+厚生年金10万円の計16万円受給)が亡くなると、妻は2階部分(厚生年金)の4分の3にあたる7.5万円の遺族厚生年金が受け取れる。
それに加えて「中高齢寡婦加算」という加算金がもらえるのだ。その額は月額約4.9万円。合計12万円あまりとなる。“召し上げ”は約4万円だ。ただし、中高齢寡婦加算は妻が65歳となって自らの年金がもらえるようになると打ち切られる。
さらに、夫の死亡時に30歳未満で子供のいない妻の場合は“自立可能”という考え方から、中高齢寡婦加算は受け取れず、「夫の2階部分の4分の3」にあたる遺族厚生年金も5年間しか受け取れない。
※週刊ポスト2018年11月2日号