10月に起こった米国発の「世界同時株安」以降、日本株も大きく乱高下する展開が続いている。そうしたボラティリティ(変動率)が高い相場展開が続く中で、投資家はどのような投資戦略を立てればよいのだろうか。カブ知恵代表の藤井英敏氏に聞いた──。
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株式市場を取り巻く中長期的な懸念材料として「米中貿易戦争」があるが、今後の日本株全体にとって大きなポジティブ材料とはなりえない。さらに、日本では来年10月に消費増税が予定されている。過去の増税がそうだったように、景気の冷え込みは必至の情勢であり、今後の日本株全体の上昇は限定的に見ておくべきではないか。
それでも相場全体に上昇機運が見られるなら、豊富な資金を持つ投資家にとっては、指数に連動するETF(上場投資信託)などに資金を投じるという選択肢があるだろう。そうではない個人投資家は、やはり指数に連動するような主力株ではなく、かつ消費増税の影響を受けにくい銘柄に注目しておく必要がある。
言い換えるならば、相場全体の値動きに引きずられることなく、さまざまな外的要因にさらされたとしても、大きく揺らがない高いマーケットシェアを持つ、あるいは独自の技術力を持つ企業をピンポイントで狙っていけばいいだろう。
では、具体的にはどういうテーマに注目すればよいのか。
まずこれから大きなテーマとなってくるのが「キャッシュレス」である。政府は消費増税にあたり、クレジットカードなどのキャッシュレス決済で2%分をポイント還元する方針を示しており、いわば「国策」といえる。「国策に売りなし」という相場格言の通り、それら「キャッシュレス」関連銘柄は政策の後押しが期待できる。