世界の名だたる有識者が絶賛し、ベストセラーとなっている1冊がある。『ホモ・デウス』──気鋭の歴史学者が解き明かすのは、人工知能(AI)とバイオテクノロジーが急速に発展した先にある「人類の未来予想図」だ。上・下巻合わせて500ページを超える大著だが、その“要点”は何なのか。
〈進歩の列車に乗る人は神のような創造と破壊の力を獲得する一方、後に取り残される人は絶滅の憂き目に遭いそうだ〉
そんな不気味な“予言”を記した『ホモ・デウス』が、多くの書店で平積みされ、店内売り上げトップを独占している。
著者のユヴァル・ノア・ハラリ氏(42)が2011年に上梓した前著『サピエンス全史』(邦訳版は2016年刊)は世界数十か国で翻訳され、800万部を突破した。その続編となる『ホモ・デウス』も、9月までに400万部を売り上げている。
著者のハラリ氏は1976年にイスラエルに生まれた。ヘブライ大学で地中海史と軍事史を学んだ後、英オックスフォード大学で博士号を取得。帰国後に書き上げた前著が欧米主要メディアで話題になり、一躍、その名を世界に轟かせた。
新刊が描く世界観には、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏やノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロ氏ら錚々たる知識人が賛辞を送っている。
ただ、〈テクノロジーとサピエンスの未来〉という同書の副題からも、いかにも難解そうな印象を受ける。そこで、専門家の力を借りながらポイントを4つに絞って同書の大意を要約した。