中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「ハズキルーペ」CMに広告のプロが「負けた」と脱帽するワケ

渡辺謙が怒りをぶつけるハズキルーペのCM。渡辺の提案をもとに、CMでの台詞はすべて松村会長が考案したという

渡辺謙が怒りをぶつけるハズキルーペのCM。渡辺の提案をもとに、CMでの台詞はすべて松村会長が考案したという

 昨年来のCM界における話題作と言えば、なんといっても「ハズキルーペ」だろう。怒り散らす渡辺謙が登場したかと思えば、菊川怜が「ハズキルーペ、大好き!」とハートマークを作る。今度は武井咲が『黒革の手帳』(テレビ朝日系)を連想させるシチュエーションで出演。小泉孝太郎など新たなキャストも続々登場している。この話題のCMには広告代理店関係者も大きな関心を寄せているという。広告代理店出身でネットニュース編集者の中川淳一郎氏が解説する。

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 渡辺謙と菊川怜が登場するバージョンのCMは、ハズキルーペの松村謙三会長が広告代理店から出てきた案を却下し、結局自分で作ったと明かしました。元々はミラノで渡辺がカッコよく登場する案だったようですが、女性セブン11月15日号のインタビューではこう語っています。

「まずは、商品を知ってもらうことが第一。しかし、CMクリエイターは商品を売ることよりも、自分の作品を作ろうとして、見当違いな企画を持ってくることが多いんです。“ミラノの駅から始まって…”とか“お殿様にハズキルーペを献上して…”とか(笑い)。こちらは60秒のCMの宣伝費に100億円かけていますから、1秒2億ですよ。ミラノの風景なんか無駄に見せるくらいなら、自分でやるよ!って」

 広告代理店のクリエイターの中には、CMのことを「作品」と言う人もいます。カンヌ国際広告賞を狙うことばかり考えている人もいる。そんな人たちからすれば、ひたすら商品紹介に徹するような広告は「ダサい」の一言で片づけられます。家電量販店の商品名&価格連呼広告や、とにかく商品パンフレットの内容を読み続ける生命保険会社のCMなんかがその好例でしょう。

 ハズキルーペのCMについても同じです。とはいえ、あのCMを見ているとハズキルーペに関して伝えたかったことが、非常によく分かります。

・とにかく色々なものが拡大される
・男も女も、老いも若いも使える
・頑丈
・レストランやクラブ、プレゼンの舞台でも違和感がなく使えるおしゃれさがある
・日本製で品質が高い
・サングラスバージョンもある
・複数の色がある
・仕事にも、おしゃれにも有効である

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