世界最大の時価総額を誇るアップルの株価が急落している。11月2日、決算発表直後の株価は6.6%下落、翌営業日(5日)も2.8%続落となった。時価総額は5日終値ベースで1兆ドルを割り込んでいる。この株価変調はアメリカ市場全体に影響を与えかねない。さらに、日本、台湾、韓国、中国などのアップル関連銘柄への悪影響も懸念されている。
2018年7-9月期決算は20%増収、32%増益であった。米中貿易摩擦の影響は見られず、売上高の59%を占める主力のiPhone売上は29%伸びており、数字の上では好調に見える。しかし、販売台数をみると4688万9000台で、前年同期と比べ21万2000台しか増えていない。
平均販売価格が前年同期と比べて28%上昇したことで売上は好調を維持しているが、台数が伸びなくなっていることを市場参加者たちは懸念している。iPhone Xの後継機種であるiPhone XSは9月に発売されたばかりだが、この新機種は、旧機種と比べて性能、外観ともに大きな違いがあると受け止められていない。
10-12月期の売上見通しについて会社側は前年比横ばいから5%増程度としていて、これも予想に届いていない。販売価格の上昇率も頭打ちとみられ、それに伴う成長鈍化も懸念されている。
すでにiPhoneの部品製造や組み立てを手がける各国の企業にも影響が出ている。11月4日の中国メディア(証券日報)によると、最終組み立てを行う鴻海精密工業に対して、アップルはiPhone XS、iPhone MAX、iPhone XRの発注を10%減らしたと伝えている。価格が高すぎるために新機種の販売が低迷していることがその理由だ。
アップルが発注を減らすのは今回が初めてではない。2018年1-3月期にも同様のことが起きている。この時は、iPhone X、iPhone 8、iPhone 8 Plusの部品受注について、予想よりも15~30%減ったことで、部品メーカーは長期間の休暇、臨時の生産停止に追い込まれている。メモリー、レンズセット、3Dセンサーモジュールなど川上部品に関するサプライヤーは在庫調整を迫られた。同じようなことが、これから起きる可能性があり、鴻海精密工業が人員削減を行う可能性も指摘されている。