田代尚機のチャイナ・リサーチ

韓国経済の危機 中国半導体企業への人材流出に警戒感

 中国が知的所有権を侵害しているといった理由で、アメリカは中国に追加関税措置を発動しているが、そうした大胆な政策が打ち出せるのはアメリカが世界最大の経済大国であり、輸出依存度が極めて低いからである。

 2017年における韓国の名目GDPは1兆5405億ドルで世界第12位であり、トップであるアメリカの約13分の1、第2位である中国の約8分の1、第3位である日本の約3分の1に過ぎない。一方、2017年における韓国の輸出依存度は世界45位で37.54%である。中国の18.45%、日本の14.18%、アメリカの7.95%と比べると著しく高い(データはGLOBAL NOTEより)。韓国の総需要は相対的に小さく、貿易に強く依存した経済構造にある。

 もっと直接的なデータを示すと2017年における韓国の輸出先トップ(ドルベース、JETROより)は中国で、全体の24.8%を占めている。ちなみにアメリカは12.0%、日本は4.7%に過ぎない。

 アメリカが「中国製造2025」(2015年に中国が発表した今後10年間の製造業発展のロードマップ)に強い懸念を抱いているが、この計画が進展してもっとも大きな被害を受けるのは、中国への有力な輸出品が無くなってしまう韓国ではないだろうか。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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