ただし、高額な骨董品の売買は、その物が本物であるという前提で取引されるのであり、骨董品が本物であることは、売買契約の重要な要素です。本物として取引された骨董品が偽物であれば、売買の目的物に錯誤があったことになり、売買契約は無効です。重過失で錯誤に陥った場合には、無効を主張できませんが、お父さんは素人ですし、まして認知症気味とあっては骨董品の評価や目利きに重過失があったとは到底いえません。なので骨董品を返し、売買代金の返金を求めることができます。
応じない場合、相談している専門家の鑑定を添え、詐欺として警察に相談することも検討できます。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年11月23日号